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コラム

2021.11.29

不適正なケアプランとは?

2024年の介護保険改正の議論は年が明けたらもう始まりますが、すでに下地作りは始まっています。すでに財政制度審議会で財務省からは「お金なら無いからこうしてもらわなきゃ困る」という提言がなされています。

サービスの利用者負担の見直しや、ケアマネジメントへの利用者負担の導入など、議論が先送りされていた項目について、再び議論されていくことになります。
中でもケアプランの適正化については厳しい目が注がれており、ケアマネさんには理不尽な改定になるかもしれません。その中では、ケアプランの報酬の全体額を下げるために、ベッド1台のみのプランなど、位置付けた介護サービスの数によって報酬を減額するという案も再浮上してきそうです。

ベッド1台のレンタルのみのケアプランは報酬減額の対象になるほど不適切なものでしょうか?

福祉用具はたった1品目の導入でも、その方のQOLに大きく影響することがあります。玄関の上がりかまちの段差を解消するだけで、その方の外出のバリアを無くし、外に出かけてみようという意欲を引き出す効果がありますし、介護ベッドで体を起こすことで、家族と同じ高さで目線を合わすことが出来るようになり、それだけで生活の質は変わります。
家族や地域の支えがあり、他の介護サービスを受ける必要が無くても、一つの福祉用具があるだけで、本人にとっても家族にとっても、在宅での暮らしを維持することの支えになる事例は多くあります。ケアマネジャーが、保険外のサービスをうまく組み合わせ、介護保険では一つの福祉用具の力を借りるだけで暮らしを成立させるプランを作ることだって可能です。それは理想的なケアプランと言えますが、一部のケアマンジャーによる“不適正”なプランを取り締まることで、このような“腕のいい”ケアマネジャーにしわ寄せがきてしまいます。

プラン作成にかかる手間が少ないのだから「福祉用具だけのプランは減額します」とされてはたまりません。利用者本人に寄り添った正しいケアマネジメントプロセスを経て出来上がったケアプランに、手を抜いたものなどありません。それらを不適正なプランとして認定するのは間違っています。いわゆる不適正プランと呼ばれるようなプランを作成するだけの質の低いケアマネジャーがいることも否めませんが、机上で議論を進めていくこれからの委員の方たちには、ぜひ現場で何が起きているかを見て欲しいものです。

社会福祉士 板垣慎司

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