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コラム

2021.06.22

介護保険は”保険”の制度

介護保険は“保険”の制度です。
つまり、自動車保険や火災保険と同じように、保険料という形でみんながお金を出し合って、不幸にも“保険事故”にあった人に、保険金を給付する仕組みがベースになっています。介護保険の場合、みんなが払う保険料だけで運営するのではなく、同額の公費(税金)が投入されますので、保険制度であると同時に社会保障制度でもあります。

また、介護保険を保険制度として見た場合、保険金の代わりに介護サービスという“現物給付”をするところが一般的な保険とは違います。
自動車保険や火災保険などの損害保険は、被害の大きさを金額に換算して保険金が支払われますし、生命保険や医療保険は、あらかじめ必要な保険金を決めて、そこから逆算して毎月の保険料を算出します。また、介護保険は40歳を過ぎると国民全員が保険料を支払う皆保険ですので、健康保険と同じように強制的に加入するところも、一般の保険とは違いますね。

しかし共通して言えるのは、基本的には「できることなら受けたくない給付」だということです。
損害保険でも医療保険でも、保険金を受け取るような事態は“保険事故”と呼ばれ、それは、「困ったことになった」「悲しい」「辛い」というように、決して嬉しくない時のはずです。不幸にも事故が起きてしまったから、保険が適用され、「加入していてよかった。少しは助かった。」となるのです。
ですから、保険に入っているからといって、「早く事故が起きないかなぁ」と考える人はいないでしょう。これは介護保険でも同じです。“保険事故”とまでは言わないまでも、ほとんどの利用者は、“不本意ながら”そういう状況になってしまっているということを忘れないでいましょう。

私たち介護職には「できることなら誰もが介護保険なんて利用したくない。でも目の前の人は要介護度認定を受けて、必要とするサービスがあるから、今ここにいらっしゃるのだ。」という想像力を持った接遇が必要です。自動車保険や火災保険の場合、万一事故にあった時、保険会社の担当者が、ニコニコと笑顔で登場することはありませんよね。

そういう視点からも、私たち介護職に必要なのは、ただただ明るい“満面の笑み”ではなく、相手の気持ちに寄り添う”安心の笑み”、そしてその方の立場に立って考える“まごころの笑み”なのです。

社会福祉士 板垣慎司

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