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コラム

2020.09.14

介護報酬改定~訪問介護の主な論点~

2021年の法改正に向けて、介護報酬改定の議論が深まってきました。訪問介護でこれまでにあがってきていて、議論の対象となっているものをまとめてみました。

<生活援助の訪問回数が多い利用者のケアプラン届出>

  • 生活援助の給付費が身体介護の給付費に振り替えられているという実態があるかどうかも含めて検証が必要ではないか。
  • ケアプランのうちの約3割が再考を促され、1割強が変更されたことを踏まえると、届出制度は当面維持し、内容を評価していくことが必要ではないか。
  • 一律に訪問回数の基準を要介護度別に当てはめるという取扱いは、再検討していく必要があるのではないか。
  • 重度化予防、自立支援の観点からも、利用回数の制限を撤廃するべきではないか。

<通院等乗降介助>

  • 病院間の移送や入所サービス事業所から直接病院等に行った場合が対象外になっていることについては、利用者の生活及び利便性、医療介護の連携の観点から、解消すべきではないか。
  • 既に訪問介護員等が不足する中で、今の訪問介護員等で通院等乗降介助の対象拡大に対応できるか心配するところ。

<人材確保>

  • 中山間地域を中心に人材確保ができず、ニーズどおりの訪問が困難な地域もあることから、人材不足が、報酬によるものか業務の特異性によるものか、しっかりと考えておく必要があるのではないか。
  • 若い世代でも訪問介護員として安心して働ける職場となるよう、環境整備を進めていくことが大切ではないか。
  • 訪問介護員という呼称が、魅力的なのかどうかについて、検討する必要があるのではないか。
  • サービス提供責任者の大きな負担に十分見合った処遇が必要ではないか。

<生活機能向上連携加算>

  • 自立支援、重度化防止の重要性を踏まえると、通所介護事業所に勤務しているリハビリ専門職が同行した場合も、算定ができるように緩和してはどうか。
  • 算定に伴う書類の手間を減らせているか、また、この加算の効果や意義をしっかり伝えられるか、連携が可能な環境 整備を行えているか等の複数のアプローチによる検討を効果的に行う必要があるのではないか。
  • 事業所が加算を算定するゆとりが持てるよう見直しを図ることで、算定率を上げてはどうか。

<新たな評価>

  • 看取り期には、介護の専門性が必要とされ、かつ、一定期間柔軟な対応が求められることから、柔軟な仕組みと評価が必要ではないか。
  • ターミナルケアや看取りに訪問介護員が関わることが不可欠となることから、適切に評価すべきではないか。一方、負担軽減につなげる観点からは、真に必要なもののみ加算で評価し、他は基本報酬の中で評価すべき。その際、現在は サービス提供時間に含まれない訪問介護員の移動時間を、基本報酬で評価することも検討すべき。
  • 在宅限界を高める観点から、認知症専門ケア加算やターミナルケア加算、喀痰吸引の実施等に対する加算の創設を検討してはどうか。
  • 訪問介護員の処遇改善のために、特定事業所加算を区分支給限度基準額に含まれないようにという要望については、 保険財政の影響がどのくらいになるのかを明らかにするべきではないか。

<その他>

  • 前回改定で行われた、老計10号に関する見直しについて、利用者や御家族、ケアマネ等に対し、保険者を通じて、考え方や意義を伝えなければ、実効性を確保できないのではないか。
  • 限られた財源の中で、中重度の方に給付を重点化していく観点から、要介護1・2の軽度者の方への生活援助につい て、総合事業の実施状況も見ながら、段階的に地域全体で支えていく方向に移行させていくべきではないか。

以上がこれまであげられた主な意見と論点になります。現場の声そのままというものもありますが、今以上に書類が増えそうなものもあります。一方で、国としては出来るだけ給付費を抑えながら、必要な人に必要なサービスを適切な方法で提供できることを考えますので、年末までの残りの議論は、結果だけではなく議論の中身にも注目していきたいです。

現在、新型コロナ感染対策により社会保障審議会介護給付費分科会はYouTubeで生中継され、誰でも傍聴することが出来ます。これまで東京でしか開催されてきませんでしたので、いい機会かもしれません。

介護給付費分科会のページはこちら

社会福祉士 板垣慎司

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