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コラム

2020.08.17

住民参加型の地域包括ケア

訪問介護のうち、生活援助に位置づけられている調理や買い物といったサービスは、自治体の総合事業に移行するという議論がされてきました。次の法改正での具体的な方向性は示されてはいませんが、そろそろ議論を終わらせて決めることを決めて進めていかないと間に合わない気がします。

介護職員の人手不足はずっと叫ばれていますが、この国は、飲食業も小売業もIT業界もどこも全部人手不足です。残念ながらこれから介護の現場の人材が増えていくことはほぼ考えられません。

少ない介護職には、専門性を発揮して身体介護を中心とした中重度者へのサービスに特化してもらうことになるでしょう。そのためには、介護職の質と専門性をもっと高めなければなりませんが、そこにかかるお金は、介護保険料を上げるなどして国民で負担し合う必要があります。

一方で、買い物に行けない、部屋の片付けが出来ない、洗濯物を干せないなどの、これまで出来ていた普通の生活が出来なくなってくる人の数は脅威的に増えてきます。

ヘルパーは中重度の方への対応が忙しくなるので、それだけのためには訪問できにくくなります。

もちろん「生活援助サービスは自立支援に欠かせない専門性を必要とするサービスだ」というのはよくわかりますし、確かにその通りです。しかし、対応できる人がいなくなるんです。

生活援助を総合事業に移した後、国や自治体が想定しているその仕事を請け負う人は、訪問介護事業所のヘルパーではありません。地域の元気な高齢者や、少しでも空いた時間を使って協力してくれる主婦や学生のボランティアたちです。

しかし行政にはその地域の人材資源をマネジメントする余裕がありません。そこもそれぞれの地域の介護事業者が請け負うことになるかもしれません。いや、地域の介護事業者がやるしかないのではないでしょうか?

自社の介護職員とも連携しながら多様な担い手によるサービスを組み合わせられるコミュニティマネジメントの機能が介護事業者に求められるのです。その方法の一つとして、連絡や報告手段としてのICTの導入が考えられます。例えばボランティアさんのスマホに、地域の事業所から「〇〇さんのお宅のゴミを出してきて欲しい。」「〇〇さんのお宅にお米5キロを買って持っていける方いませんか?」などの依頼や連絡が来て、自分の役割を自発的にかつ自由に発揮できるような仕組み作りが必要となってくるでしょう。介護事業所は、地域のニーズに対応する支援をマッチングさせてマネジメントする役割を担うことになるのです。

遠い未来の話でしょうか・・・?

社会福祉士 板垣慎司

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