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コラム

2020.07.15

新型コロナ慰労金は全職員に必ず支給を

国は介護・福祉事業者に対して、新型コロナの感染予防に係る様々な支援策を打ち出しています。その中でも、新型コロナウイルスの感染防止対策を講じながら介護サービスの継続に努めた職員に対して慰労金を支給する「介護サービス事業所・施設等に勤務する職員に対する慰労金の支給事業」は、介護の現場で働く介護職員や他のスタッフを金銭面で直接支援するものです。厚生労働省が出した実施要項によると、感染者が発生・濃厚接触者に対応した施設・事業所に勤務し、利用者と接する職員には20万円、感染者や濃厚接触者が出ていなくても、事業所に勤務し、利用者と接する職員には5万円が支給されます。

慰労金の対象施設は、特別養護老人ホームやデイサービス、訪問介護などすべての高齢者施設・事業所です。職種は利用者と接する職員で、6月30日までに10日間以上働いていたことが条件となっています。「正規・非正規や勤務時間は問わず、事務職や調理師、清掃スタッフでも利用者と接触する場合など要件に該当すれば対象となります」(厚労省老健局振興課)。算定の開始時期については、それぞれの都道府県で新型コロナが発生した日または緊急事態宣言の対象となった日からとしています。慰労金の支給は1回だけで、転職していた場合でも重複支給はできません。条件を満たせばすでに辞めた職員にも支給されます。今後、慰労金の支給に当たっては、都道府県議会が承認した後、都道府県から法人に対して配布される申請書によって申請を行う必要があります。慰労金は一括して法人に支給され、法人経由で職員に慰労金が支払われるため、早ければ8月以降に職員に届く見込みです。なお、慰労金は非課税であるため、パートで働く主婦がいる世帯の税金を減らす配偶者特別控除を気にする必要はありません。

自社の介護職員のこれまでの努力に報いるためにも、事業所は必ず申請を行い、確実に職員の手元に慰労金を届けなければなりません。

一方で、厚生労働省は、直近の特定処遇改善加算の最新の取得率を発表しました。特定処遇改善加算は、従来の処遇改善加算に加えて、リーダー級の職員を対象に、他の産業と同程度の賃金水準に引き上げることを目指して2019年10月に導入されたものです。
具体的には、介護事業所における勤続年数10年以上の介護福祉士について月額平均8万円相当の処遇改善を行うことを算定根拠に、経験・技能のある介護職員において「月額8万円の改善」または「年収440万円」を目標としています。

厚労省の発表によると、取得率が高かった上位3つは特別養護老人ホームの83.5%。次いで高かったのがショートステイの79.4%%、定期巡回サービスの77.7%でした。
反対に最も取得率が低かったのは、介護療養型医療施設の27.4%。次点で地域密着型通所サービスの31.9%、訪問介護の45.8%と続き、サービスによって取得率に大きな「ひらき」があることがわかります。サービス全体では、加算を算定した事業所の割合は57.8%でした。

算定要件の多さと複雑さや、申請に係る事務負担の大きさなどから申請を断念した事業所も多いと聞きますが、事業所が申請しない大きな理由の一つに、「事業所内での職員への配分方法」「加算対象外の職員への処遇」などの「賃金バランス」問題があげられます。代表的な例として、介護福祉士とケアマネジャーの給与逆転問題があります。また、介護福祉士の間でも、同じ業務をしているのに、会社が“経験豊富な介護福祉士”とするか否かで給料が変わってくることになり、職員のモチベーションを下げる要因となりかねません。

しかし、要件を満たしているのに申請をしない事業所は、今後の事業運営に苦しむことになるでしょう。人手不足の中、新しい職員を採用する際の賃金条件が、加算取得事業所とは明らかに違ってきます。つまり、「賃金バランス」問題を解決できずに、加算取得を見送っている事業所は、他よりも低い条件でしか募集をかけられず、職員採用に苦労することになります。先に述べた慰労金もそうですが、働いている職員からすると「もらえるはずの給料や慰労金を、法人が申請しないためにもらえない」と映るだけで、かえってモチベーションを下げるきっかけとなります。
また、次の法改正の議論において「加算を用意したのに、申請が少ないということは処遇についての問題は解決している」と国に解釈の余地を与えてしまうことになるかもしれません。

この特定処遇改善加算の取得率については、訪問介護が低いのが気になります。これには明らかな理由がありそうです。訪問介護において、特定処遇改善加算(Ⅰ)の算定要件に「特定事業所加算(Ⅰ)または(Ⅱ)を算定していること」というのがあります。多くの訪問介護事業所では、この特定事業所加算(Ⅰ)または(Ⅱ)をそもそも取れていないのです。したがって、特定処遇改善加算は算定できても(Ⅱ)の対象となり、職員の大きな処遇改善につながりません。訪問介護や夜間対応型訪問介護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護では加算率自体は高く設定されているものの、やはり現場からは事務申請の煩雑さや要件判断の難しさを指摘する声もあり、次期介護保険法改定での対応が注目されるところです。

とはいえ、消費税を8%から10%に上げてまでして創設された加算ですから、サービスの質の向上に努力を続けている事業所が恩恵を受けるべきなのは間違いありません。訪問介護であれば、特定事業所加算の算定は、まず目指したい体制作りとなります。

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