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コラム

2020.06.15

目指すのは「サービスの質の向上」

介護サービスの質の向上は、どの訪問介護事業所でも掲げられている目標だと思います。サービスの質の向上を図るには、その方へのケアのあり方を十分議論し、ご本人も納得の上でサービスを提供する必要があります。経験豊かなサービス提供責任者に訪問介護計画の作成を任せきりにして、ヘルパーはその計画どおりにただサービスを行っているところもあるでしょう。しかし、訪問介護計画は、日々サービスに入っているヘルパーからの報告をもとにしたモニタリングによって見直され、修正しながらより質の高いサービスを目指すためのものでなくてはなりません。サービス提供責任者とヘルパーの間の情報共有と、コミュニケーション自体の質を上げることが、サービスの質そのものに大きく影響するのです。

訪問介護の現場に、スマホでの記録ツールなどを導入して、情報共有のIT化を実現している事業者が増え、次のような声を聞くことが出来ました。

「ITツールを活用することで起こった最大の変化は、時間が生まれたこと。ヘルパーとの連絡や調整にかかっていた事務的な連絡時間を大幅に削減でき、個別のケアに関する相談や、ケアカンファレンスの時間、ヘルパーとの個別面談の時間などをしっかりとれるようになりました。職員全員が利用者にとって最も必要なケアはどうあるべきか?どのようなケアが利用者の満足度を高められるか?について、丁寧に検討する時間を持つことで、サービスの質の向上に大きく貢献できました。ITツールは、ただ単に業務を効率化するだけではないんですね。」

IT化が遅れていると言われている介護業界ですが、そもそもIT導入の目的を何にするかでその活用の意気込みは変わってきます。「文書作成の効率化を図りたい」ということだけを目的としていると、新しいことに取り組み、継続するモチベーションは続かないことがわかってきました。ITを導入することで業務を効率化した後、その先の目標をどこに置くかが大切なのです。
業務を効率化できると時間が生まれます。これまで電話連絡やシフト調整にかかっていた時間を別のことに充てられます。利用者のニーズを入念に検討し、日々の報告を吟味しながらサービス計画に落とし込んでいく。これには時間がかかります。報告について詳しくヒアリングする時間、担当するヘルパー同士でカンファレンスを開く時間、サービス提供責任者からヘルパーに声をかけ、困りごとや悩みを聞き出し、アドバイスすることによって人材を育成する時間など。

ITツールには様々なものがあります。まずどれにするかを検討する前に、そもそも何の目的で導入したいのかについて、次のような問題意識を職員間で共有して進めることが大切なのです。

  • ケアの質を上げるために行うべきことは何か
  • 職員同士がコミュニケーションをとる時間をどうやって作るか
  • ケアに直接関係ない業務の効率化をどうすれば図ることができるか
  • ITツールを導入することがケアの質を上げることにつながるか

その結果、活用できるITツールに出会うことが出来れば、サービスの質の向上につながります。

社会福祉士 板垣慎司

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